20戸(うち店舗1戸) 平均賃料:6万円 交渉期限:6ヶ月

築40年の老朽アパートの立ち退き。オーナーは隣の敷地に居住している。そのため、借家人が頼ってしまう恐れがある。まずその点をオーナーに良くご説明して、窓口が2つにならぬようガイダンスした。古くからの方はオーナーとの関係が良好なため比較的すんなりと退去に応じてくれた。序盤は若い方々やオーナーと良好な方との合意取得を目指した。

しかし、20戸くらいになると、やっかいな方や、抵抗者が必ず何件かでてくる。今回は、店舗であるマッサージ店、長年住んでいる80代の高齢男性、派遣型風俗業を営む40代男性。あとは、部屋が決まるまで合意サインを出来ないと言う様子見姿勢の男性。

一通りの挨拶をおえて、この4名は後回しにして、他の方から交渉し合意を取り付けて行った。振分けにすると、A:抵抗者 B:抵抗者寄り C:協力者 となるため、いかにBの方々をCにするかが時短と予算の軽減につながる。それには、やはり対応を怠らずに信頼関係の構築に努めなければならない。

振分け後B・Cから交渉を行っていき、多少、抵抗にあったりしたが、16軒の合意までは概ね1か月半位にてまとまった。その後①の方々に取り組んだ。

4名が残ったなかで、さらに分類すると店舗と風俗関係者は一番の抵抗者であった。まず、店舗は要求が数千万。契約は住居であるが軒先に看板を出しており、営業形態をとっている。その状態が30年以上に亘るため追認事項になるとの事。要求の根拠は店舗査定であった。次に風俗関係者。強硬姿勢で当初より一切の交渉拒否であった。

したがって、高齢男性と様子見姿勢の男性との交渉を取りまとめる方向で折衝した。高齢男性は、煩わしいのと転居の不安から抵抗をしていたが、高齢住宅者等のご紹介を行い区の福祉員等との打ち合わせを重ねて無事転居の運びとなった。

様子見姿勢の男性は明け渡しの期限を明確にお伝えして、転居の話は一切せずに人間関係の構築に努めた。ある時期を過ぎるとこちらの事を受け入れてくれたのでそこからお部屋探しのお手伝いを絡めていき円満解決に至った。

問題は、まったく未交渉の風俗関係者であり一定期間をもっても今後の交渉が見込めない為、当方の弁護士を介入させた。加えて、ここまで来たので店舗においても弁護士を入れて早期の解決を図った。

まずは、店舗との折衝だが先方の請求根拠は営業権であったため三期分の納税証明提出を要求したが、なかなか応じずにいた。そうこうしているうちに先方の弁護士より金額提示があった。結果、残置物は一部こちらが処分する事で合意を得た。立ち退き料も当初の要求よりも大幅な減額にて退去となった。

最後は風俗関係者だが、最終的には弁護士をたててきた。向うの根拠は借家権割合による立ち退き料請求であった。アパート居住で賃借権の為、根拠があてはまらない。加えて、解消したとはいえ賃料の未納が2カ月分あった事などから、本訴を見据えてこちらは、構えていたが、当該地は立地条件等、利便性が大変良い点と今後の収益プラン等を考慮してオーナーは早期決着をご要望されたため裁判外和解を探る事とした。いちばんの高額であり、全体の総予算としては多少出っ張ったが、その分、期間の短縮にて全面解決となった。

本訴に持ち込めば先方も弁護料がのしかかる為、住居であり、若い方ならばある程度の世間一般的な数字にて和解するしかなくなる事が多いのだが、やはり、時間がかかる為、事業プランとの兼ね合いがでてくる。

基本的には弁護士を登用せずに解決するのが早期決着の為であるが、こういうケースでは早めに見切りをつけて対処する事も時には必要である。その為にも、強硬抵抗者以外をいかに早く、安く、円満にまとめるかが、世帯数が割合多い立ち退き交渉のポイントと言えるかもしれない。